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味の素/北米でメディカルフード市場に本格参入、医療食品会社を買収

味の素は11月9日、味の素ノースアメリカを通じて、米国の医療食品会社Cambrooke Therapeutics, Inc.(以下:キャンブルック)の株式を約6400万米ドル(約72億円)で取得し、完全子会社化した、と発表した。


キャンブルック社は、2000年に創業、アミノ酸代謝異常患者等向けの医療食品を開発・製造している。そのほか、難治性てんかん患者向け医療食品や腎臓・肝臓疾患患者向け低たんぱく質食品を手掛け、欧州など米国外でも展開している。同社は独自素材を活用し、競合品に比べ、おいしく、かつ消化に優れた製品を開発し、過去3年は年率20%を超える高成長を遂げている。


米国のメディカルフード市場は2016年に17億5000万米ドル(約1980億円)と世界最大の市場で、年間平均成長率は約10%と堅調に推移。その中でも、特定の栄養素を体内で代謝することができない代謝異常患者向けの医療食品市場は、6億6000万米ドル(約750億円)と米国市場の約4割占め、年率10%で伸長している(2017年、同社推計)。代謝異常患者は、通常の食事を取ることができず、特定の医療食品のみを毎日摂取するが、そのおいしさやバラエティーの少なさが大きな課題となっている。


味の素はこれまでメディカルフード市場向けに素材としてアミノ酸を販売してきたが、今回の買収により、メディカルフード市場に本格参入する。同社のアミノ酸の栄養や生理機能に関する科学的知見「おいしさ設計技術」、食品アプリケーション技術をキャンブルックの事業に適用することで、代謝異常患者へより充実した食を提供する。


さらに、対象疾病領域の拡大と同社の海外販売ルートを活用した海外展開の強化により、2027年の売上高を約9000万米ドル(約100億円)、世界のアミノ酸代謝異常患者向けの医療食品市場における同社シェアを20%へ拡大することを目指す。


また、キャンブルック社の医療食品事業の知見を、同社の国内外の加工食品、健康ケア食品、サプリメントなどの食品関連事業に導入し、高付加価値の健康・栄養関連製品の拡大も図る。

【流通ニュースより】