【価値創造能力】知的財産を企業価値評価に!?
【誰が?】
【何を?】
人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」などの新技術に対応した知的財産の活用を探る新たな戦略ビジョンを策定する。
知財戦略の新ビジョンの骨子
○AIやビッグデータ、ブロックチェーン、仮想現実などの新技術を活用した知財創出を促進
○知財の新たな価値評価基準の策定を検討。有能な人材や資金調達を支援
○特許出願や商標登録に詳しい「知財人材」を育成
○政府や大企業、ベンチャー、大学などが知財の活用で連携し、イノベーションを促進
○上場企業の時価総額や科学技術の有力論文数で突出する米国や中国に対抗
【メリット】
・企業が保有する知的財産の資産価値の評価基準の策定を検討することなどが柱。
・企業価値を実態に即して評価しやすくし、新事業の創出に必要な資金や人材を調達しやすくする。
・特許などが生み出す使用料などを元に知財を担保にした融資の可能性。
・知財を正当に企業価値に反映しやすくし、企業による新分野への積極的な研究開発投資を促す。
【今後の予定】
・新ビジョンは2025年までの実現をめざす。
・2017年11月政府は具体的な戦略を検討する専門調査会を設置。IT(情報技術)企業大手やベンチャーの経営者、企業のM&A(合併・買収)の実務者などが参加して年内に初会合を開く。
・2018年5月「新・知財戦略ビジョン」としてまとめる
・2018年6月経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に反映させる。
【会計上】
新ビジョンの柱となる知財の資産評価方法については、現在も特許や商標はバランスシートで無形固定資産として計上されることがあり、企業のM&Aの際に「のれん代」として考慮される。
→あくまでも取得時の時価と取得価格のギャップであり、未来の価値創造能力は評価できませんね。
【デメリット】
・企業が独自に集めたビッグデータやAIを使った技術などを企業の資産として測る尺度がない
・技術や情報の流出
【背景】
AIなど従来なかった新技術の登場で、世界規模で新事業の創出競争が激しくなっている。グローバル市場で競う大企業だけでなく、手元資金や人的資源に乏しい中小企業の生き残り戦略として知財保護の重要性が一層増している。
上場企業の時価総額は米国や中国の企業が上位を独占し、株式公開から10年未満の企業の時価総額も日本は縮んでいる。
政府は企業が知財を経営の核とする機運を高めて、日本の潜在成長率を引き上げる原動力となるイノベーションの創出につなげたい考えだ。
☆もっとも問題となるのが、明確な価値を測る基準がなければ恣意性が介入してしまうことでしょう。会計上も非常に議論として挙がっている分野だけに注目です。
いわば将来この人(情報)はいくら稼ぎ出す能力をもっている!と判断することは非常に難しく、公平で平等に判断するモノサシが必要となると思います。
出典:日本経済新聞