東芝vs「物言う株主」6000億円増資引受先&「株価割安」の見方
以前の記事で、東芝は2期債務超過の状態だと上場廃止になってしまう状況です。
そのために、①東芝が6000億円に達する大規模増資を決めた。
これは来年3月末までに完了できるかが不透明である。
そしてこの作戦の次に起きる状態
・東証の上場廃止も避けられるため「現在の株価は割安」との声もある。
・新株引受先には「物言う株主」として知られる海外有力ヘッジファンドがずらりと並ぶ。経営への圧力も辞さない投資家が大株主になり、成長戦略を練り直す経営陣の責務は一段と重くなる。
東芝は海外の特定の機関投資家に新株を割り当てる第三者割当増資と呼ぶ手法をとる。ゴールドマン・サックスが集めたヘッジファンドを中心とする海外60社に12月5日払い込みで割り当てる。
【1株あたりの株主価値が薄まるのを懸念は新於愛なし】
20日の東芝株は一時前日比7%安まで下落。だが下落率は増資による価値の希薄化率(35%)を下回った。
増資で今期末の自己資本は900億円のプラス(従来想定は7500億円のマイナス)になる見通しで、上場廃止も回避でき、米原発費用などを負う保証債務(6600億円)を、増資資金で返済すれば税法上の損金に認められる。
これにより増資発表前の東芝の時価総額は1兆2373億円。これに増資と純利益増(計8400億円)が加われば、理論的な時価総額は2兆700億円に膨らむ。株式数は増資前から54%増えるが、時価総額を株数で割った理論株価は319円(20日終値は275円)となる。
増資がなければ上場廃止で株価が急落する恐れもあっただけに、増資は既存株主にも一定のメリットがあったといえる。
ただ中長期的な株価は本業の稼ぐ力が決める。上期の営業利益の約9割を稼いだメモリー事業を売却した後は稼ぐ力は急減する。その穴を埋める成長戦略を打ち出せなければ、物言う株主が圧力を強めるのは必至。短期投資中心のファンドが売りに回る可能性もある。
出典:2017/11/21 日本経済新聞