日立から初の経団連会長か 中西宏明会長が選ばれた裏事情 - 森岡 英樹
11月16日、毎日新聞が経団連の次期会長に中西宏明日立製作所会長(71)が固まったと報じた。
「会長経験者など関係者に根回しが済んでいない。まだ決定とは言えずフライング気味の記事です。ですが、中西氏以外にいないのも事実」(財界関係者)
日立出身者が経団連会長に就くのは初めてのことだ。
「もともと日立幹部は『自分たちはしょせん茨城の田舎企業ですから』と自虐的に語るほど、財界のど真ん中で活動することに否定的な風土でした」(日立関係者)
2014年には、日立をV字回復させた川村隆氏が本命視されたが固辞し、東レの榊原定征氏が会長となった。
「ただ、この時も既に日立関係者の間では『求められたら受けるべきだ』との意見が出ていた。断ったのは、あくまでも川村氏個人の信条によるものでしょう」(同前)
近年、「財界総理」と呼ばれた経団連会長の権威はすっかり失墜していた。
「旧財閥系から会長を出さないという慣例を破って住友化学の米倉弘昌氏が担ぎ出され、その後任には重厚長大産業以外から榊原氏が就き軽量会長が続いた」(前出・財界関係者)
米倉氏は、安倍晋三首相と関係が悪く、経済財政諮問会議の委員に選ばれなかった。榊原氏も出身母体の東レでは、取締役を外れ、日覚昭広社長との折り合いもよくないと言われる。
そんな中、経団連副会長を出している企業の中でも製造業で約9兆円の売上を誇る日立の中西氏は、久しぶりの「本格財界総理」として期待を集めているのだ。
中西氏は、都立小山台高校から東大工学部に進んだ。海外経験が長い国際派で、川村氏の下で、日立を再建させた立役者の1人だ。
「気さくな性格で、何事にも前向き。子会社から出戻り、改革に大ナタを振るった川村氏を支えて、社内調整にあたったことが評価された。経団連会長は視野にあったようで、メディア関係者を入れて広報強化を図るなど、準備を進めていたようです」(同前)
ただ、川村氏は現在、東電会長となっており、中西経団連会長となれば、東電再建などの原発問題で日立は前面に立たざるをえない。経営的には大きなリスクになりそうだ。
(森岡 英樹)
【参考】
BLOGOS 17.11.28